学部紹介

    教員紹介

    岩本 佳子

    史料の中から聞こえる「市井の人びと」の声に耳を澄ます

    岩本 佳子(いわもと・けいこ)
    大阪府生まれ。京都大学文学部、京都大学大学院文学研究科。博士(文学)。専門は東洋史、オスマン朝史、遊牧民研究。主な業績は『帝国と遊牧民:近世オスマン朝の視座より』(京都大学学術出版会、2019年)など。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・フェロー、ビルケント大学(トルコ・アンカラ)歴史学科・客員研究員などを経て、2020年より長崎大学多文化社会学部。

    Q.ご自身の研究を紹介してください。
    中東地域における国家と遊牧民のダイナミズム
    13世紀から20世紀まで、現在の中東、北アフリカ、南東欧ヨーロッパを支配したオスマン朝の歴史を、テュルク、クルド、アラブ系の遊牧民に焦点をあてて研究しています。かつて「オスマン・トルコ」と呼ばれることが多かったオスマン朝には決してトルコ人だけが暮らしていたわけではなく、その広大な支配領域には、様々な文化、宗教・宗派、民族に属する人びとが、時に対立し時には協力してともに生活していました。そのような「多文化社会」を国家権力がどのように統治しようとし、それに対して臣民・国民がどのように対応したかを検討するために、15-18世紀に作成されたアラビア文字で書かれたトルコ語(オスマン語)の古文書に登場する遊牧民の記録を通して、当時の人びとの姿を捉えることに挑戦しています。
    近年は、現代のトルコ共和国において、遊牧民がどのように受け止められ、観光資源や民族の歴史として利用されているかを探る研究にも取り組んでいます。

    【PHOTO】トルコ各地の公文書館などに保管されているこのような古文書を探索し読み解きます。

    Q.どのような授業になりますか。
    専門科目「グローバル文化交流史」
    「グローバル化」や「多文化共生」という言葉が日本で広がり始めてからかなり経ちましたが、世界の歴史を見ると、国境や文化圏といった境界を越えて、人びとの交流が古くから行われていました。ユーラシアでは陸上の道(シルクロード)を、地中海やインド洋では海上の道を通してヒトとモノが紀元前の時代から行き交い、多様な文化が育まれてきました。ここ長崎にも、オランダや中国といった他国との文化交流の長い歴史があり、独自の文化や社会が形成されました。一方で、グローバルな文化の交流は、奴隷交易や植民地化、軍事征服や戦争といった負の歴史も生み出してきました。
    授業では、グローバルな文化交流の正の面も負の面も経験してきた中東・イスラーム地域の文化交流の歴史をたどりながら、現代のグローバル化や多文化社会のあり方についても考えてきます。

    【PHOTO】トルコのセルチュクで開催されたラクダ・レスリング祭。地元だけではなくトルコ各地から集まった人たちが地酒のラクを片手にBBQを楽しみながら、遊牧民の「伝統」に思いをはせます。

    Q.メッセージをお願いします。
    「遊牧民」と聞くと、馬に颯爽とまたがり家畜を引き連れて自由気ままに旅をしながら暮らす人びとや、勇猛果敢なチンギス・ハンの騎馬軍団を思い浮かべるでしょうか。しかし、オスマン朝の古文書に登場する遊牧民は、自分たちから牧畜をやめて農耕を始めたり、税金を減免してもらう代わりに軍隊で働いたり、国家の支配を嫌ってある土地から逃げ出すかと思えば、役人の不正を国家に訴えて自分たちの権益や特権を守ろうとしたりと、私たちのイメージとは異なる様々な姿を見せてくれます。
    これまでの人生で作り上げてきた先入観やイメージからいったん離れて、史料から聞こえてくるかすかな声に耳を澄ませつつ、広い視点から歴史に学ぶことで、現代の世界を理解し、未来を一緒に作り上げていきましょう。

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