学部紹介

    教員紹介

    小島 卓也

    つながる言葉・自分らしい言葉が溢れる社会を目指して

    小島 卓也(こじま・たくや)
    愛知県名古屋市出身。専門は日本語教育学、外国語教授法、応用言語学、特に、実践コミュニティの理論やレッジョ・エミリアアプローチを応用した言語教育研究。同志社大学文学部英文学科卒業後、オーストラリア、シドニーのニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)にて準修士研究課程(言語・言語学)修了、博士課程修了、博士号(人文・言語)取得。ニューサウスウェールズ大学や同じくシドニーのマッコーリー大学(Macquarie University)での非常勤講師(日本語)、イタリア、ヴェネツィアのカフォスカリ大学(Ca’ Foscari University of Venice)でのポスドク研究員、契約講師などを経て、2021年4月から長崎大学多文化社会学部。
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    Q.ご自身の研究を紹介してください。
    教室を社会へ:人と社会とつながる言語学習環境デザイン
    外国語を学んでも、いざとなると使えないという経験をした人はいますか?私はその一人です。おそらく、学習過程での実践の機会の不足が原因の一つでしょう。不足しがちな実践の機会を作るには、周囲の人々や物事と「つながる」ことが大切だと考えます。例えば、友人と外国語を使いながら海外旅行の計画をする、旅先のアクティビティで同じグループになった外国の人と仲良くなる、旅行から戻ってもSNS上でやりとりをする。つながりは実践的な学びを、実践的な学びはさらなる出会いとつながりを生み出します。「つながる言葉」はネットワークを広げ、視野を広げ、新しい世界への扉を開くのです。現代社会を特徴づける分断や格差にも真っ向から立ち向かいます。
     では、つながる言葉を学ぶ機会を作るにはどうしたらいいでしょうか。海外旅行に毎週行ければ良いのですが、そうはいきません。別の方法で目標言語を使い人々や物事とつながる仕掛けを作る必要があります。その鍵の一つとなるのが、私の研究で中心的役割を果たす実践コミュニティという学習理論です。海外旅行の環境とは程遠い教室環境にこの理論を応用し、学習者が人と社会とつながる言語学習環境のデザインとその効果、難しさ、意義を明らかにしようとしています。
     今後は、創造性を表現するための「自分らしい言葉」が育つ学習環境デザインの研究もします。イタリアのレッジョ・エミリアアプローチという、アートを使った年少者教育の考え方を取り入れます。様々な教室が研究のフィールドです。教育現場で得られる教師や学習者の声が研究の源です。この声にじっと耳を傾けられることが私の研究の大事なポイントです。

    【PHOTO】ヴェネツィアのアカデミア美術館。アートと言語教育の関係について考えるきっかけを作ったイタリアの数々の美術館や劇場の中の一つ。

    Q.どのような授業になりますか。
    「日本語指導法」・「日本語教育実習」
    これらの授業で目指すのは「日本語を教えられる自分」として皆さんが自信を持つことです。そのために、「日本語」と「言語を教えること」の2つについてよく知り、使いこなせるようになるサポートをします。例えば、以下の例文について考えてみましょう。
    1、 母がご飯を作っている間、私はテレビを見ている。
    2、 母がご飯を作りながら私はテレビを見ている。
    どちらかの表現に違和感を感じますか?似た表現の「間」と「ながら」は何が違うのでしょうか?このように「日本語教育文法」の視点から日本語についてまず理解し、その理解を日本語学習者にどう伝えるのか、どのような活動をすれば学習者が日本語を使えるようになるのかも考え、実践します。
     授業はここで終わりません。皆さんの教える日本語とその日本語を学ぶ学習者は、今の、未来の社会を形作ります。学習者にどうなって欲しいですか?どのような社会を学習者と一緒に作っていきたいですか?これらの正解のない、しかし、大切な問いについても深く考えます。実習の仕上げとなる教壇実習では「社会に発信し、つながり、働きかける」を目指し、留学生などへの授業に取り組みます。授業では以下のようなことが起こって欲しいと考えています。
    1、 異なる言葉・文化が出会う場に身を置き、驚き、発見、感動を経験する
    2、 マイノリティになりやすく何事も上手くいかないことが多い教育現場で、工夫する力、順応力、寛容さなどを磨く
    3、 母語といった普段は空気のような存在に鋭く切り込み理解を深め、何も知らない相手にその理解を明確に説明する力を伸ばす
    4、 一つ一つの言葉の大切さや影響力を理解し、自分の言葉に責任を持って使うようになる
     多文化共生社会を生きる際、これらは皆さんの大切な経験と力になるはずです。日本語が母語でなくても、自分の母語を振り返り、これらの学びを得られると考えています。これらの科目を修了し、その他の要件も満たせば「日本語教員基礎資格」が取得できます。

    【PHOTO】イタリアの大学での日本語の授業の様子。学生の日本への入口はポップカルチャーであることも多いが、大学では日本の文学、美術、音楽、映画、歴史、社会などに関する知識を深め、視野を広げていく。日本語を学ぶことはそのプロセスの中で重要な役割を果たすと言える。

    Q.メッセージをお願いします。
    文化社会学部で学ぼうとする皆さんは多文化が交わる場に興味があると思います。私はシドニーでの交換留学中に日本語教育に出会って以来、約10年間日本を離れていました。「G’day, mate! How’s it going? No worries!」、「Ciao! Come stai? Grazie mille!」など、シドニーではオーストラリア英語に、ヴェネツィアではイタリア語に揉まれました。どちらの都市も多様な言語と文化が入り混じる多文化共生社会で、新しいもの、驚きとの出会いには事欠かず、毎日が新鮮でした。新しい世界への扉を次々と開いたのが日本語教育という場の持つ力でした。この力が多文化社会学部で出会う皆さんにも波及していけば嬉しいです。
     2019年に日本語教育推進法が施行され、日本語教育は新たな転換期にあります。日本語教育を学んだ人の活躍の場は国内外問わず広がる可能性が高いです。これは教育機関内だけの話ではありません。日本語教育の機会はふとした時に私たちの日常にも現れます。街中で、大学で、職場で「日本語がわかりません。手伝ってくれませんか?」と話しかけられることもあるでしょう。その時にさっと対応できれば、多様な言語・文化背景の人々とつながり、より良い多文化共生社会を共に築くきっかけになります。その準備と実践をする機会がこの学部にはあります。
     その名が示す通り、多文化社会学部は多文化・多言語の宝庫です。興味のある学問分野を突き詰めて学ぶ機会、自分の興味の枠を超えた驚きに出会う機会、どちらも十二分にあります。皆さんは専門性に基づく芯のある力強さと視野の広さに裏打ちされた柔軟性を兼ね備え成長していくでしょう。そのためのサポートができる日を楽しみに待っています。

    【PHOTO】イタリアのボローニャのあるレストランにて。各国間を自由に移動できるヨーロッパでは多様な価値観を組み合わせ新しい価値観を生む動きと、自国文化の良さに気づきそれらを際立たせる動きが両立するケースを数多く経験した。

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