学部紹介

    教員紹介

    葉柳 和則

    多言語国家スイスの文化を探る

    葉柳 和則(はやなぎ・かずのり)
    1963年徳島県生まれ。博士(文学)。専門は20世紀のスイス文化。『経験はいかにして表現へともたらされるのか–––M・フリッシュの「順列の美学」』(鳥影社:2008年)により、第7回日本独文学会賞。2014年4月より長崎大学多文化社会学部。
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    Q.ご自身の研究を紹介してください。
    スイスから長崎へ
    文化社会学と文学研究とメディア論がクロスオーバーする領域で研究をしています。20世紀のスイスにおける芸術家・知識人・ジャーナリストたちが、第二次世界大戦期の経験をどのように想起し、叙述し、探求しているのかという問いを、マックス・フリッシュという人物の仕事を手がかりに研究してきました。
    ここ数年は多言語・多文化国家スイスがどうしてばらばらにならずに1つの国としての統合を保ってきたのかに焦点を当てています。
    長崎大に着任してからは、スイス研究で得た知見と方法を応用する形で、「長崎における20世紀の記憶」の研究にも取り組んでいます。
    ここ3年ほどは端島/軍艦島に関するメディア報道の変化、その背景、それがもたらす効果などが私の長崎研究の中心です。

    【PHOTO】スイス建国の地「リュトリの丘」。
    建国記念日には大勢の人々が集まって式典が開かれますが、ふだんは牧場として使われています。でもそれがいかにもスイスらしいです。

    Q.どのような授業になりますか。
    専門科目「文化表象論」
    「表象(representation)」は日本語ではこなれない感じのする言葉ですが、要するに「いま-ここ」にはないもの・こと・ひとについて、媒介(メディア)を通して描き出すことです。「さっき見た事故について友達に電話で話す」、「遠い国の事件について報道する」、「過去の出来事をめぐって小説を書く」といった行為はみな媒介を通して何かを描いています。言い方を変えれば、五感で直接何かを知覚しているとき以外、私たちは常に表象作用のおかげで、経験を他者に伝え、あるいはそれを受け取るということになります。つまり、表象は文化的営みと切っても切れない関係にあるわけです。
    この授業では、映画、小説、聞き取りといった具体的の事例をいくつか取り上げて、社会学、文学研究、物語論、歴史学、メディア論といった隣り合った学問領域に共通する問いである「表象」を掘り下げていきます。

    【PHOTO】スイス4番目の国語であるロマンシュ語の村グアルダの駅にて。
    スイスの4つの国語+英語で表記されている標識には、この国の多言語・多文化状況が集約的に現れています。

    Q.メッセージをお願いします。
    センター試験が象徴するように、高校までの「学び」では満点に最接近することが何より大切です。そして、先生だけが満点に到達する道筋を知っているということが話の前提でした。つまり、問いを立てるのは先生で、それに答えるのが生徒でした。これに対して、大学での「学び」においては、自分(たち)で問いを立て、自分(たち)でそれに答えることが中心となります。すなわち、100点を取ることが問題なのではなく、その先にあるものを探求することが大学における知の営みなのです。先生たちはそのためのアドバイザーであり、トレーナーであり、伴走者です。しかし何よりも大切なのは、先生と同じように走れるようになることではなく、先生よりも速く、巧みに走れるようになることです。学問の進歩とは弟子が師匠を乗り越えることに他ならないのですから。

    【PHOTO】チューリヒの広場でチェスを楽しむ人々。
    広場に立って周囲を眺めるとこの国のいろいろな側面が生き生きと見えてきます。

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