学部からのお知らせ
多文化社会学部オランダ特別コース4年生 山本 瑞穂さん、同社会動態コース4年生 大淵 菜音子さんの活動がCHOHO66号に掲載されました。
2019/05/31 学生の活動
以下は長崎大学広報誌CHOHO66号(2019年1月発行、PDFはこちら)特集「長崎で学ぶ」より抜粋。
長崎学研究を担う次世代の人材育成
多文化社会学部/長崎学ネットワーク「史料部会」
研究者と共に学び未来像を思い描く
長崎学に関連する研究、調査、資料収集の拠点として、2016年に長崎市が開設した長崎学研究所。開設と同時に、大学、博物館、郷土史研究団体、長崎県から成る「長崎学ネットワーク」が組織され、さまざまな取り組みが行われています。組織と大学の関わりについて、長崎学ネットワークで理事を務める木村直樹教授のお話です。
「長崎には長崎学研究をけん引してきた市民レベルの団体がたくさんあります。しかし、研究という点において、次世代を担う若手が育っているかと言えばそうではありません。今後、人材育成の面で先細りにならないためには、大学といういわば教育組織そのものが直接的に関わる必要があります。具体的には、研究所主催による研究発表会や、長崎学ネットワークが主催する公開学習会が行われており、2018年1月よりネットワーク内に史料部会を立ち上げて、江戸時代の古文書を読み解く勉強会も始めました」。
長崎歴史文化博物館で毎月1回行われている古文書の勉強会では、細川家の書簡を解読。現代的な解釈への置き換えや読み間違いの指摘などディスカッションします。
学生はどのように関わっていますか?「定期的な活動としては古文書の勉強会に参加しています。勉強会は毎月1回、長崎市、長崎県、長崎歴史文化博物館の学芸員の皆さんが集まります。若手が多く、彼らから直接話を聞くことは刺激になりますし、将来は研究者や地方の文化行政に携わりたいと考えている学生にとってロールモデルにもなるのではないでしょうか。また、ローカルな地域からグローバルな世界との関係を学び、自分たちの社会の立ち位置を強く確認することになります」。
この日の勉強会には学生3名が参加。原本と翻刻を見比べる眼差しは真剣そのもの。
古文書の勉強会に参加している、オランダ特別コース4年の山本瑞穂さんと社会動態コース4年の大淵菜音子さん。外から見た長崎という視点で、長崎と関わりが深い熊本藩細川家の書簡を解読しているそうです。
「当時はメールもなく、紙という媒体に頼っていた時代ですが、紙自体が貴重なものだっただけに、書ける内容は限られていました。書簡の中からテンプレートのような言い回しを見つけて、それらを手掛かりに関係性などを読み解いたりもします。難しいですが、学芸員の方は現代語訳にするだけではなく、登場人物や会話の内容まで発表してくださるので、とても勉強になります」。(山本さん)
「例えば、偉い人の名前の前には少し空白を入れるなど、昔の手紙には独特の表現法があり、上下関係まで見えてきます。まるで暗号解読みたいなんですよ。将来も何らかの形で関わりたいと思うほど、古文書を好きになりました。勉強会では、私たち学生が発表や質問をすることもあります。学芸員さんの前で発表するのはドキドキします」。(大淵さん)
地道に積み重ねられてきた長崎学の研究成果を、今後さらに発展させるためには、二人のような若い人材を巻き込み、育んでいくことが大きな力になります。
オランダ特別コース4年の山本瑞穂さん(左)と社会動態コース4年の大淵菜音子さん。
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